職員室の声

職員室の声

 

鹿児島第一中学校職員が、週2回、リレーでお届けするフリーメッセージです。

 

卒業式を翌日に控えた日(上猶)

2017-05-12

 

 中学校の卒業式を翌日に控えた日、前の週に卒業した高校3年のある男子生徒がいきなり職員室に入ってきた。そして、入ってくるやいなや頭を下げ、「すみません!すみません!」と涙を流しながら連呼した。当日が、ある国立大学の発表日であり、残念ながら不合格で、ショックも覚めやらぬその足で、中学校職員室を訪れたのだった。彼の発した言葉は、その謝罪の気持ちからだった。

 

 彼は有名私立大学にも合格しており、進路が閉ざされたわけではないのだが、少なくともこの3年間を、目標とする大学合格に向けて、鋭意専心してきた彼にとっては、現実を受け止めきれない状態であったであろうと思う。愕然として衝撃を受けた直後にわざわざ中学校の職員室に来て、「すみません。」と謝罪の気持ちを直接伝えに来た彼の心情を考えると、居合わせた職員全員が目を潤ませないわけにはいかなかった。

 

 

 スポーツにおいては、部活動もたとえ自分ひとりの時でも体を鍛錬し、受験のため引退する時までやり抜いた。学習面でも、高校の先生方が捕まえられない時には、少なくとも高校1年生の頃までは中学校職員室まで質問にきたのを覚えている。少しでも疑問点やわからないところがあれば、時間を惜しまず解消しようという真剣な姿勢がそこにはあった。

 

 自分のことさえよければ良しとする人が多い中で、彼は「お世話になった先生方に報いるために是非とも合格したかった」ということを吐露してくれた若者である。プレッシャーを与えてはいけないが、彼が近いうちに満面の笑みをたたえながら、職員室に嬉しい報告に来る姿が目に浮かぶようである。

 

 

(上猶 尚友)