職員室の声

職員室の声

 

 

鹿児島第一中学校職員が、週2回、リレーでお届けするフリーメッセージです。

 

桜(上薗)

2018-01-19

 

 一人の男性が数回もの手術をきっかけに自身が生きた証を残そうと、人里離れた山を購入し約4000本もの桜の木を植えたという番組があった。数十年が経ち、今では満開の桜の花が咲き多くの人に感動、安らぎを与える場所になっている。

 

 桜は、日本の歴史や文化・風土と深く関わってきた特別な花である。日本人にとって最も親しまれている花であり、日本を象徴する花ともいえる。

 

 平安時代の歌人・在原業平が詠んだ桜の歌がある。

 

 

世の中に たえて桜の なかりせば 春の心は のどけからまし

 

 「この世の中にまったく桜がなかったならば、春を迎える人の心はのんびりおだやかでいられるだろうに」という意味である。

 

 「桜なんかなければいいのに」という思いは本心ではない。美しく咲く桜の花の命の儚さを惜しむ気持ちが募るあまり、その気持ちとは裏腹の表現となって詠まれている。

 

 春の日本列島を南から北へ咲き継いでいく桜の花。桜を思う時、心が切なくさわぐのは、ただひたすら一生懸命咲いて、時がくれば散っていくからだろか。その儚さ、潔さに、人生を重ね合わせる人も多いはずである。

 

 決して万全な体調ではないなかで植えた桜。今では全国から毎年満開の桜を見に訪れている。男性の言葉である。

 

 「こんな山奥まで見に来てくれる。ありがたいです。みんなが喜んでくれる。自分も元気をもらえる?」

 

 語る笑顔に『強さ・優しさ・温かさ』を感じ涙腺が緩んだ。年齢のせいなのだろうか?

 

 

(上薗 弘久)