職員室の声

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鹿児島第一中学校職員が、週2回、リレーでお届けするフリーメッセージです。

 

梅の花が咲き始める頃(本髙)

2018-02-09

 

 私の家に梅の花が咲き始めたのは一月二十六日のことであった。一年生の国語の授業で蕪村の辞世句

 

 

しら梅に くる夜ばかりと なりにけり

 

 

の一句を説明するために裏庭の梅の枝を折りとり教卓へ飾ると、まだ自分の家の梅は咲いていないと感心している生徒もいた。確かに世間一般の開花に比べれば少し早く咲いてくれたようで思わず嬉しくなった。ただ不思議なことに四本植えてある木の中のただ一本だけが咲き、他の木は未だに全く咲く気配を見せない。蕪村の句を解釈すれば……夜明け前のまだ薄暗い庭にほのかな香りを漂わせて梅の花がうっすらと見えてきつつある。これからだんだん温かな春の日となってゆくことだろう。……死を目前にして何という穏やかな雰囲気を漂わせている一句なのだろうか。こういう句を詠んで死ねる人は幸せだと思う。

 

 

 梅の花が咲くと、立春は瞬く間に過ぎ去り、三月に桃の花が顔をのぞかせ、やがて桜の花が咲き誇る。そして入学式。新年度のスタートは確かに四月であるが、計画や目標の設定はこの二月から三月にかけて行うべきで四月に入ってからではもう遅い。すでに新年度が始まっているのである。

 

 

(本髙 和弘)